相続が発生すると、相続人の確認、遺産の調査、遺産分割、各種名義変更など、さまざまな手続が必要になります。
また、相続人同士で遺産の分け方について話し合う必要があるため、家族間の意見が対立し、紛争に発展することもあります。
- 「何から始めればよいのか分からない」
- 「相続人が誰なのか分からない」
- 「遺産の分け方について話合いがまとまらない」
- 「借金があるため、相続放棄をしたい」
- 「将来の相続に備えて遺言を作成したい」
このような場合には、弁護士にご相談ください。
第一法律事務所では、相続が発生した後の遺産分割や相続放棄などの手続だけでなく、将来の相続に備えた遺言書の作成についてもご相談をお受けしています。
また、当事務所には税理士登録をしている弁護士が所属しており、相続に伴う税務についても、法律面とあわせてご相談いただけます。
不動産の相続登記、土地の分筆・合筆などについては、司法書士、土地家屋調査士、測量士などの専門家とも連携して対応します。
相続・遺言に関する主な対応
第一法律事務所では、相続に関するさまざまなご相談に対応しています。
- ・遺産分割協議・遺産分割調停
- ・相続人・相続財産の調査
- ・遺言書の作成
- ・遺言書の保管
- ・遺言執行者への就任
- ・遺留分侵害額請求
- ・相続放棄
- ・限定承認
- ・相続に関する税務相談
- ・不動産などの相続に伴う専門家との連携
相続が発生した後のご相談だけでなく、「今のうちに遺言を作っておきたい」という生前のご相談もお受けしています。遺言書の保管料は無料です。
相続・遺言に関する解決事例
遺留分侵害額請求で解決した事例
「全財産を孫に相続させる」という遺言書が見つかったケースです。長女(孫から見て母)からご相談を受け、孫に対する遺留分侵害額請求について交渉を行いました。
不動産の評価額を適正に算定し直した上で、金銭による解決を図りました。
期限間近の相続放棄手続きを迅速に完了した事例
疎遠になっていた父親が亡くなった後、数か月経ってから、多額の借金についての督促状が届いたケースです。相続放棄の熟慮期間が迫っていたため、必要な資料を速やかに収集し、家庭裁判所への申立てを行いました。
その結果、相続放棄が受理され、負債を相続せずに済みました。
死亡を知ってから3か月を経過した後に相続放棄が認められた事例
父親が亡くなった後、借金があることが判明したケースです。借金が判明した時点では、父親の死亡を知ってから3か月を経過していました。
そこで、借金の内容や、借金の存在を知らなかった事情などを家庭裁判所に説明し、相続放棄の申述を行いました。
その結果、相続放棄が認められました。
相続放棄には原則として期間制限がありますが、事情によっては、死亡を知ってから3か月を経過した後でも相続放棄が認められる場合があります。
相続の基礎知識
相続とは
相続とは、亡くなった方(被相続人)の財産上の権利や義務を、相続人が引き継ぐことです。
相続の対象となる財産には、預貯金、不動産、株式などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。
そのため、相続が発生した場合には、プラスの財産だけでなく、借金や保証債務などのマイナスの財産についても確認することが重要です。
誰が相続人になるのか
法律上、誰が相続人になるのかは、民法によって定められています。
配偶者は、原則として常に相続人となります。
配偶者以外の相続人には順位があります。
| 順位 | 相続人 |
|---|---|
| 第1順位 | 子 |
| 第2順位 | 直系尊属(父母など) |
| 第3順位 | 兄弟姉妹 |
第1順位の子がいない場合に第2順位の直系尊属が相続人となり、第1順位・第2順位の相続人がいない場合に第3順位の兄弟姉妹が相続人となります。
また、相続人となるはずだった子や兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている場合には、その子(孫、甥姪)が相続人となる「代襲相続」が生じます。孫が亡くなっている場合は、さらにその子が相続人となる再代襲相続が生じますが、甥姪が亡くなっている場合は、再代襲相続はありません。
実際の相続人を確定するためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍を確認する必要があります。
法定相続分とは
法定相続分とは、法律で定められた相続の割合です。
代表的なケースは次のとおりです。
| 相続人 | 法定相続分 |
|---|---|
| 配偶者のみ | 配偶者が全部 |
| 配偶者+子 | 配偶者1/2、子1/2 |
| 配偶者+直系尊属 | 配偶者2/3、直系尊属1/3 |
| 配偶者+兄弟姉妹 | 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4 |
同じ順位の相続人が複数いる場合には、その相続分を人数に応じて等分に分けます。
もっとも、法定相続分は、必ずその割合どおりに財産を分けなければならないという意味ではありません。
遺言がある場合や、相続人全員による遺産分割協議が成立した場合には、別の分け方をすることもあります。
遺産はどのように分けるのか
相続が発生した場合、遺産の分け方には、主に次のような方法があります。
① 遺言書がある場合
被相続人が有効な遺言を残している場合には、原則として遺言の内容に従って遺産を分けます。
ただし、遺留分など、遺言によっても制限される場合があります。
② 遺言書がない場合
遺言書がない場合には、相続人全員で遺産の分け方を話し合います。
これを「遺産分割協議」といいます。
話合いがまとまった場合には、遺産分割協議書を作成します。
③ 話合いがまとまらない場合
相続人同士の話合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、調停による解決を目指すことができます。
当事務所では、遺産分割協議から、家庭裁判所での調停・審判まで、状況に応じて対応します。
遺言
遺言とは
遺言とは、自分が亡くなった後の財産の分け方などについて、最後の意思を示すものです。
遺言を作成しておくことで、「誰にどの財産を残したいのか」という意思を明確にすることができます。
特に、相続人同士の関係が複雑な場合や、法定相続人以外の人に財産を残したい場合には、遺言を作成しておくことが重要です。
こんな方は遺言を作成しておくことをおすすめします
① 法定相続人以外の人に財産を残したい方
たとえば、
- ・法律上の婚姻関係にないパートナーに財産を残したい
- ・自分の介護をしてくれた子どもの配偶者に財産を残したい
- ・兄弟姉妹やその子どもに財産を残したい
- ・お世話になった人や団体に財産を寄付したい
といった場合です。
法定相続人以外の人に財産を残したい場合には、遺言による遺贈などを検討する必要があります。
② 配偶者はいるが、子どもがいない方
子どもがいない場合、配偶者だけが相続人になるとは限りません。
親が存命であれば親が、親が亡くなっている場合には兄弟姉妹が相続人となります。そのため、配偶者に財産を残したい場合には、遺言を作成しておくことが重要です。
特に、兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言を書くことで確実に配偶者へ財産を相続させることができます。
③ 再婚していて、前婚の子どもがいる方
再婚している方で、現在の配偶者と前婚の子どもがいる場合、現在の配偶者と前婚の子どもは、ともに相続人となります。
相続人同士が疎遠であったり、関係が良好でなかったりする場合には、遺産分割協議が難しくなることがあります。
配偶者の生活を守るために特定の財産を残したい場合などには、遺言によって財産の分け方を明確にしておくことが考えられます。
ただし、子の遺留分に注意する必要があります。
④ 相続人同士の関係が良くない方
遺言がない場合、原則として相続人全員で遺産の分け方について話し合う必要があります。
相続人同士の関係が良くない場合には、遺産分割協議がまとまらず、紛争に発展することもあります。
あらかじめ遺言を作成しておくことで、財産の分け方について被相続人の意思を明確にすることができます。
⑤ 事業を営んでいる方
事業を営んでいる方の場合、事業用資産や株式などを誰に引き継ぐのかを明確にしておくことが重要です。
事業承継についても考慮しながら、遺言の内容を検討する必要があります。
⑥ 身寄りがないと思っている方
「自分には相続人がいない」と思っていても、戸籍を確認すると、疎遠になっている兄弟姉妹や甥・姪などが相続人となることがあります。
誰が相続人になるのかを確認した上で、財産を誰に残したいのかを考えておくことが重要です。
⑦ 不動産など、分けにくい財産を持っている方
不動産は、預貯金のように簡単に分けることができません。
自宅などの不動産を誰が取得するのかをめぐって、相続人間で問題が生じることもあります。
遺言によって、誰にどの財産を相続させるのかを具体的に定めておくことで、相続後の話合いを減らせる可能性があります。
⑧ 子どもの将来について備えておきたい方
未成年の子どもがいる場合には、遺言によって未成年後見人を指定することができます。
自分に万一のことがあった場合に備えて、子どもの生活や財産についてあらかじめ考えておくことが重要です。
遺言に関するよくあるご相談
妻と子どもがいるが、妻に財産を多く残したい
Q 妻と子どもが2人います。妻に自宅を相続させたいのですが、どうすればよいでしょうか?
妻と子ども2人が相続人となる場合、遺言がなければ、法定相続分は妻が2分の1、子ども2人がそれぞれ4分の1となります。
妻に自宅を残したいという明確な希望がある場合には、「自宅を妻に相続させる」など、具体的な内容を遺言に記載しておくことが考えられます。
ただし、子どもには遺留分が認められるため、遺言を作成する際には遺留分についても検討する必要があります。
孫に財産を残したい
Q 子どもが3人います。介護をしてくれた孫にも財産を残したいのですが、どうすればよいでしょうか?
通常、子どもが相続人となる場合、孫は相続人にはなりません。
孫に財産を残したい場合には、遺言によって孫に財産を遺贈する方法などを検討します。
ただし、子どもには遺留分が認められるため、遺言を作成する際には、遺留分にも配慮することが重要です。
子どもがいないが、姪や甥に財産を残したい
Q 結婚しておらず子どももいません。両親も亡くなっていますが、高齢の兄弟がいます。自分の財産を姪や甥に残したいのですが、どうすればよいでしょうか?
甥姪に財産を譲る遺言を書くことをおすすめします。
遺言を書いていない場合、あなたの財産は、法定相続人であるご兄弟が相続することになってしまいます。
配偶者も子もいない場合、法定相続人は親となります。親が亡くなっている場合には兄弟姉妹が法定相続人になります。兄弟姉妹の中で亡くなっている方がいる場合には、その亡くなっている方の子ども(ご相談者からみて甥姪)が、他の兄弟姉妹とともに法定相続人になります。そこで、遺言を書くことで、甥姪に財産を譲る(遺贈する)ことができます。その場合、兄弟姉妹には遺留分がないので、確実に財産を譲ることができます。
遺留分とは
遺留分とは、一定の相続人に認められている、遺言などによっても奪うことのできない一定割合の相続財産についての権利です。
たとえば、「全財産を長男に相続させる」という遺言が残されていたとしても、兄弟姉妹以外の法定相続人には遺留分が認められます。
遺留分は、本来の相続分の2分の1です。ただ、父母、祖父母が相続人の場合の遺留分は3分の1です。
遺留分を侵害された場合には、遺留分侵害額請求を行うことができます。
一方、兄弟姉妹には遺留分は認められていません。
遺留分の計算には、相続財産の内容や生前贈与などが関係するため、具体的なケースでは弁護士にご相談ください。
相続放棄・限定承認
相続では、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も引き継ぐことがあります。
被相続人に多額の借金がある場合や、財産の内容がはっきりしない場合には、「相続放棄」や「限定承認」を検討する必要があります。
相続放棄
相続放棄とは
相続放棄とは、相続人が被相続人の財産を相続する権利を放棄する手続です。
相続放棄をすると、原則として、プラスの財産もマイナスの財産も相続しません。
そのため、多額の借金がある場合などに利用されます。
相続放棄の期限
相続放棄は、原則として、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内に、家庭裁判所に申述する必要があります。
この期間を「熟慮期間」といいます。
相続財産の調査に時間がかかる場合などには、期間伸長の申立てができる場合もあります。
「3か月が近づいている」「すでに3か月を過ぎてしまった」という場合でも、事情によって対応が異なるため、できるだけ早く弁護士にご相談ください。
相続放棄をするとどうなる?
相続放棄が受理されると、その相続人は、その相続については初めから相続人とならなかったものとみなされます。
そのため、被相続人の借金を引き継がない一方、預貯金や不動産などのプラスの財産も相続することができなくなります。
また、相続放棄は相続人ごとに判断する必要があります。
相続放棄をする際の注意点
一度相続放棄をすると撤回はできません。また、相続人一人一人が、相続放棄をするか、相続放棄をしないかを決めることになります。
一人の相続人が相続放棄をしたからと言って、他の相続人が相続放棄をしなくても済むということではありません。
また、相続放棄の申述を行う前に、相続財産を処分するなど、相続したことを前提にした行為をした場合には、相続放棄の申述を行うことができなくなります。
限定承認
限定承認とは
限定承認とは、相続によって得た財産の限度で被相続人の債務を弁済し、相続人自身の財産から被相続人の債務を負担しないようにする制度です。
たとえば、
- 「プラスの財産と借金のどちらが多いのか分からない」
- 「財産が残る可能性があるので、相続放棄はしたくない」
という場合などに検討されます。
限定承認の期限と手続
限定承認も、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。
また、限定承認は、相続放棄とは異なり、相続人全員で手続を行う必要があります。
限定承認の利用を検討する場合には、早めに専門家へご相談ください。
相続放棄と限定承認の違い
| 相続放棄 | 限定承認 | |
|---|---|---|
| 目的と効果 | 相続人とならないことにより、相続をしない | 相続財産の範囲で債務を弁済する |
| プラスの財産 | 相続しない | 債務を弁済した後、残余があれば取得できる |
| マイナスの財産 | 相続しない | 相続財産の範囲で負担する |
| 手続 | 各相続人が個別に行う | 相続人全員で行う |
| 期限 | 原則3か月以内 | 原則3か月以内 |
どちらの手続を選択するべきかは、被相続人の財産や負債の内容、相続人の状況などによって異なります。
- 「相続放棄をするべきか分からない」
- 「借金があるが、財産もある」
- 「3か月を過ぎてしまった」
という場合には、早めに弁護士へご相談ください。
相続・遺言でお悩みの方へ
相続では、相続人の構成、遺産の内容、遺言の有無、借金の有無などによって、必要となる手続が大きく異なります。
また、相続人同士の話合いが難しい場合には、早い段階で弁護士に相談することで、今後の対応を整理できる場合があります。
第一法律事務所では、
- ・相続人・相続財産の調査
- ・遺産分割協議
- ・遺産分割調停・審判
- ・遺言書の作成
- ・遺言執行
- ・遺留分侵害額請求
- ・相続放棄
- ・限定承認
など、相続に関する幅広いご相談に対応しています。
また、税理士登録をしている弁護士が所属しているため、相続に伴う税務についても、法律面とあわせてご相談いただけます。
執筆・監修:弁護士 唐沢奈緒子/弁護士 柴山育子/弁護士 羽倉佐知子