Q 妻と子がいるが妻に財産を多く譲りたい
私は、妻と子どもが二人(長男と長女)いますが、子どもたちと妻との仲が良くなく、私が亡くなった後に妻の生活が心配なので、自宅を妻に相続したいです。どうしたらいいでしょうか。
A 相談者様のご希望を叶えるためには、ぜひ遺言を書いておくことをお勧めします。
遺言が無い場合は、原則として法定相続となり、妻2分の1、子が4分の1ずつ相続することとなります。
(解説)遺言が無い場合には、相続人(妻、長男、長女)で話し合いをして遺産分割協議をするか、法定相続をすることになります。お子さんたちと奥様との関係が良好でない場合には、遺産分割協議がまとまらない可能性も高いです。その場合は、法定相続となり、相続分は妻2分の1、長男4分の1、長女4分の1となるので、必ずしもご相談者の希望どおりに財産が相続されない可能性があります。そこで、自宅は妻に相続させる、という遺言を書いておくと、原則として遺言が優先されます。
その他にも、具体的な財産の分け方についても、記載することで、遺産分割協議の負担やトラブルを減らすことができます。例えば、「自宅を妻に、預貯金を長男に、株式を長女に相続させる」などと指定することができます。
ただし、お子さんたちには遺留分という最低限の相続分が認められ、子どもの場合は、本来の法定相続分の2分の1、すなわち長男8分の1、長女8分の1が遺留分として認められます。遺留分については複雑なため、遺言や相続に詳しい弁護士にご相談することをお勧めします。
また、遺言には、主に自筆で作成する自筆証書遺言、公正証書で作成する公正証書遺言がありますが、公正証書遺言で作成することが望ましいです。理由は、遺言の内容が法律的にみて正確で、形式不備で無効になるリスクがないことや、紛失・盗難・改ざんの心配がないこと、家庭裁判所の検認手続きが不要であることや、一般に証拠力が高いこと、遺言の有無の検索ができることなどです。
Q 配偶者や子どもがいるが、大切にしている孫にも自分の財産を譲りたい
私は、夫は他界しており、子どもが三人いますが、孫(長女の子)が私の介護をとても献身的にしてくれている孫にも財産を少し譲りたいと思っています。どうしたらよいでしょうか。
A 孫にも財産をゆずる内容の遺言を書くことをお勧めします。
(解説)遺言が無い場合、法定相続人は、子どもたち三人で、法定相続分はそれぞれ3分の1ずつとなります。孫は、相続人にはなりません。そのため、孫に財産を譲るためには、その旨の遺言を作成することをお勧めします。
なお、お子さんたちには遺留分(遺産全体の6分の1ずつ)があるので、お子さんたちの遺留分を下回らないような内容の遺言にすると、スムーズに遺産分割が進むと思われます。
Q 子どもがいないが姪甥たちに財産を譲りたい
私は結婚しておらず子どももいません。両親はすでに他界していますが、高齢の兄弟がいます。私の財産は、姪や甥に譲りたいと思っているのですが、どうしたらいいでしょうか。
A あなたの財産を確実に姪御さんや甥御さんに譲るために、遺言を書くことをお勧めします。
遺言を書いていない場合、あなたの財産は、法定相続人であるご兄弟が相続することになってしまいます。
(解説)未婚で子がいない場合、法定相続人は親となります。親が亡くなっている場合には兄弟姉妹が法定相続人になります。兄弟姉妹の中で亡くなっている方がいる場合には、その亡くなっている方の子ども(ご相談者からみて甥姪)が、他の兄弟姉妹とともに法定相続人になります。そこで、遺言を書くことで、甥姪に財産を譲る(遺贈する)ことができます。その場合、兄弟姉妹には遺留分がないので、確実に財産を譲ることができます。
Q 遺言を書いた方が良い方は他にどのような方がいますか。
A ①法定相続人以外の人に財産を譲りたいとき
遺言がなければ、財産は法定相続人が法律に指定された割合で、相続します。(法定相続人についてはこちら)。そこで、法定相続人以外の人に財産を譲りたい場合、遺言を書いておく必要があります。例えば以下のようなケースです。
- ・法律婚はしていないパートナーに財産を譲りたい
- ・自分の介護をしてくれた息子の嫁に財産を譲りたい
- ・妻や子どもがいるが、病気の妹にも財産を一部分けたい
- ・特定の団体に財産を譲りたい
法定相続人以外の人に財産を譲りたいときは、遺言を書かなければ、法定相続人が相続しますので、遺言が必要です。
② 配偶者はいるが子どもがいない方
子どもがいない方は、配偶者と親が法定相続人となり、親が亡くなっている場合は配偶者と兄弟姉妹が法定相続人となります(相続分についてはこちら)。
そのため、親や兄弟姉妹など意図しない相続が発生する場合や、配偶者と兄弟姉妹が良好な関係ではない場合、遺産分割協議がまとまらない場合もあります。配偶者に多くの財産を渡したい場合には遺言を書くことで財産を譲ることができます。兄弟姉妹には遺留分がないので、配偶者と兄弟姉妹が法定相続人の場合、確実に財産を相続させることができます(遺留分についてはこちら)
③ 再婚しており前婚の子どもがいる場合
再婚後、現在の配偶者と前婚の子どもがいる場合、両者が法定相続人となります。
前婚の子どもと現在の配偶者の関係が良好とはいえない場合、遺産分割協議がスムーズに進まないことがあります。さらに、配偶者の生活を守るために財産を多く相続させたい場合など、遺言がないと意図通りに分配されない可能性があります。
そこで、遺言で、具体的な財産分配を明確にすることで、遺産分割協議の負担やトラブルを減らせます。
④ 相続人同士の関係が良くない方
遺言がない場合、相続人全員で話し合いを行う必要があり、関係が悪いと紛争に発展する可能性があります。遺言があれば、争いを避けやすくなります。
⑤ 事業を営んでいる方
事業の承継や経営権を誰に引き継ぐかを遺言で明確にしておくことができます。遺言がないと相続争いが生じやすく、事業の存続が困難になる場合もあります。
⑥ 身寄りのない方
相続人がいないと思っていても、疎遠な兄弟姉妹や姪甥など法定相続人が存在することはよくあることです。法定相続人がいないかは、戸籍などを取得して確認する必要があります。
戸籍などを調べても相続人がいない方が亡くなった場合、その財産は、最終的には国庫に帰属してしまいます。何もしなければ国庫に帰属してしまうのであれば、それよりも、遺言を書いて、生前お世話になった人に財産を譲ったり、どこかの団体に寄付したいと思う方もいると思います。
⑦ 不動産など分割しにくい財産を持つ方
不動産は分割が難しいため、相続人間でトラブルになりやすいです。
遺言で具体的な分配方法を定めておくと争いを避けやすくなります。
⑧ 子どもの将来に配慮が必要な方
未成年の子どもがいる場合、遺言によって、未成年後見人を指定することができます。